第7回からは、玉川上水から分水網に移ります。熊川分水を玉川上水の取水口から終端まで歩きました。 今回のルートです。
熊川分水
熊川分水は、寛政3年(1791)に工事の願いが出されましたが実現せず、その後約100年後の明治19年にようやく許可が下り、3年の歳月と総額一万円余の費用をかけて明治23年1月に完成しました。石川弥八郎を始めとする熊川地区の実業家3人が費用の70%を負担しました。
熊川神社の入口近くの水路脇に説明板があります。(平成18年設置、平成31年設置)
参考資料:
【熊川分水(川のプロムナード)】
【玉川上水今むかし~熊川分水~(武陽ガス)】
【熊川分水(玉川上水事典)】
■熊川分水取水口【100選】
牛浜駅から玉川上水の下流の方に歩き、ほたる通りの青梅橋から上流の方を見ると、その先に熊川分水取水口が見えます。熊牛稲荷のすぐ脇のところです。
■料亭幸楽園【100選】
取水口で玉川上水から分れた熊川分水は、すぐに料亭幸楽園の敷地の中に入ります。 ほたる通りを歩いて、奥多摩街道にぶつかる手前の料亭幸楽園の入口の駐車場の脇で、熊川分水は顔を出しますが、再びほたる通りの下へ潜って行きます。
熊川分水は拝島段丘面の上を崖線に沿って流れています。
ここで、熊川分水から離れて、奥多摩街道を渡り、崖線を下りてみました。
クランクの坂を下りると、崖線下はせせらぎ通り。それに沿って「下の川」という小川が流れています。熊川分水はやがてこの川に流れ込みます。
■ほたる公園
崖線下、数10m上流に「ほたる公園」があります。
公園内にホタル飼育のための大きなドームがあります。昭和40年に玉川上水でゲンジボタルが自然発生したのを契機に飼育する活動が始まったのだそうです。公園内に説明板が設置されていました。
ホタル公園は下の川のほぼ源流に位置します。
参考資料:
【ほたる公園(福生市ホームページ)】
再び坂を上って崖線上に戻ります。
奥多摩街道に沿って歩き、五日市線の踏切の手前の路地を入ると、熊川分水が顔を出していました。「福生市景観重要資源第1号(熊川分水)1番」の表示があります。
熊川分水は、奥多摩街道を斜めに横切って、線路の下を通って、まっすぐ流れて行きます。
こちらは、踏切を渡って、右の路地に入ります。
道なりに歩くと、熊川分水は、都有地の中で顔を出します。
■片倉跡地
熊川分水は、都有地の隣の広大な空き地の中を流れています。地図上では「片倉跡地」とありますが、ここはかつて、森田製糸所があった所で、その後、片倉製糸に引き継がれて戦時中まで事業が行われていたそうです。
参考資料:
【片倉跡地(福生市郷土資料室)】
【森田浪吉(福生市郷土資料室)】
片倉跡地の向かいの路地の角に「福地蔵」がひっそりと安置されています。
消防署の正面に沿ってぐるっと回って片倉跡地の向こう側に出ると、熊川分水は跡地を抜けて出てきて、その後は住宅の間を流れて行きます。
■福生院
そこからすぐの所に、福生院(ふくしょういん)があります。山門の脇の枝垂れ桜はだいぶ散ってしまいました。
福生市のホームページには、「鎌倉五山寿福寺派。寺伝によれば応永18年(1411年)開山。足利四代将軍足利義持を開基として創建されたと伝えられています。」と紹介されています。
ここには、この地区を治めた徳川幕府の旗本・長塩氏の墓があり、福生市の史跡に指定されています。その他の福生市指定の文化財について、説明板がありました。
参考資料:
【福生の名刹(寺院)と分水(福生市ホームページ)】
【福生院(Portal Tokyo)】
【長塩正家(福生市郷土資料室)】
■伝 地頭井戸
福生院の前の熊川通りを少し歩くと、「伝 地頭井戸」があります。
長塩氏が、水不足に悩む領民のために井戸を掘り与えたという伝承があります。
説明板がありました。
参考資料:
【伝 地頭井戸(福生市郷土資料室)】
すぐ脇の路地を入って突き当たりの道に、熊川分水が顔を出します。 ここに、「2番」の表示があります。ここから先しばらくは、熊川分水は、道に沿って水路となって流れていて、風情のある景観を作り出しています。
熊川神社の入口近くまでやってきました。
■熊川神社
創建年代は不詳ですが、平安時代初期、多摩川で産鉄を営んでいた部族が、鉄神として白蛇神(宇賀神)を祀った礼拝塚(糠塚)が起源といわれています。
本殿は、東京都指定有形文化財(建造物)に指定されています。
その他の福生市指定の文化財について、説明板がありました。
参考資料:
【熊川神社(神社と御朱印)】
この先も道に沿って水路は続きます。
■洗い場の跡
熊川通りに合流する少し手前に、暗渠となった水路の一部があいていて石段で下りられるようになっています。水洗い場の跡でしょうか。
熊川分水は、睦橋通りを渡って、稲荷社の手前を右に折れて屋敷の間を流れて行きます。
■石川酒造【100選】
熊川分水は石川酒造の敷地の中を流れます。
■南稲荷神社
石川酒造を出たところに南稲荷神社があります。
境内にそびえる大ケヤキは、福生市指定の天然記念物に指定されています。
境内には、膳椀倉があります。中に保管されている膳椀とともに、東京都の有形民俗文化財に指定されています。
参考資料:
【南稲荷神社境内のケヤキ(福生市郷土資料室)】
石川酒造を出た熊川分水は、ほどなく終端を迎えます。
■どうどうの滝
熊川分水は、終端の「どうどうの滝」を流れ落ちて、崖線下を流れる「下の川」に流れ込みます。
■福生南公園
崖線下は広い「福生南公園」になっています。ここで昼食にしました。
今回のウォークはここで終了。睦橋通りに出て、拝島駅まで歩いて戻りました。